指しゃぶりや舌の習癖が歯に与える影響
指しゃぶりや舌の習癖(舌癖)は、特に幼少期に見られる行動ですが、これらの習慣が長期間続くと、歯や顎の発育、口腔全体の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、それらの影響と予防法について解説します。
指しゃぶりが歯に与える影響
指しゃぶりは赤ちゃんの自己安定行動の一つとして自然なものです。しかし、永久歯が生え始める3~4歳以降も続くと、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 開咬(かいこう)
- 上の前歯と下の前歯の間に隙間ができ、歯が噛み合わなくなる状態です。これは、指が歯と歯ぐきの間に常に挟まれることで起こります。
- 出っ歯(上顎前突)
- 上の前歯が前方に突出し、いわゆる「出っ歯」の状態になることがあります。指が上顎を前に押す力が原因です。
- 顎の発育異常
- 指しゃぶりによる圧力は、上下の顎骨の正常な発育を妨げる可能性があります。
- 発音障害
- 歯並びの乱れにより、サ行やタ行の発音が不明瞭になる場合があります。
舌癖が歯に与える影響
舌癖は、舌が歯や口腔内の構造に対して過剰に力をかける習慣を指します。具体的には、舌が歯を押す、飲み込む際に舌が前に突き出るなどの行動が該当します。
- 歯列の乱れ
- 舌が前歯を押すことで、歯が前方へ傾き、開咬や出っ歯の原因となります。
- 矯正治療の妨げ
- 矯正治療中でも舌癖が治らない場合、歯並びが元の状態に戻りやすくなるため、治療の効果が得られにくくなります。
- 顔つきへの影響
- 舌の位置が常に低いと、口呼吸が増え、顔の筋肉や骨格の発育に悪影響を及ぼすことがあります。これにより、顔が細長くなる「アデノイド顔貌」のリスクが高まります。
- 発音や飲み込みの異常
- 舌の動きが不自然なため、滑舌が悪くなったり、飲み込みに力が入りすぎたりすることがあります。
予防と改善方法
これらの習慣を早期に改善することは、歯並びや顎の健康にとって非常に重要です。以下の方法を試してみましょう。
- 指しゃぶりの改善
- 代替手段を提供
指しゃぶりが不安解消の手段になっている場合、ぬいぐるみや安心感を得られるものを代わりに持たせるのも効果的です。 - 苦味のある塗り薬を活用
子どもの指に安全な塗り薬を塗ることで、指しゃぶりを避ける習慣づけができます。 - 褒める習慣
指しゃぶりをやめられた時に褒めることで、ポジティブな強化を行いましょう。
- 代替手段を提供
- 舌癖の改善
- 舌の位置を意識する
舌は常に上あご(硬口蓋)に軽くつける位置が正しいです。 - 専門的な治療
歯科医や口腔外科医が行う筋機能療法(MFT)は、舌や唇の正しい動きを習得するために有効です。 - 習慣の改善
飲み込みの際に舌が前に出ないよう、意識的に歯を閉じて行う練習を取り入れます。
- 舌の位置を意識する
- 早期の歯科検診
- 歯科医による定期検診を受けることで、習癖が歯や顎にどのような影響を及ぼしているかを早期に把握できます。
まとめ
指しゃぶりや舌の習癖は、成長期の子どもの歯列や顎の発達に深刻な影響を与えることがあります。これらの問題を予防・改善するためには、早期に対策を講じることが重要です。また、習慣が長期間続いている場合は、専門家の指導を受けることを検討しましょう。
健やかな歯並びと健康な成長を守るために、親子で日常生活を見直し、健康的な習慣づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか?