母乳育児でも虫歯になりますか?
「母乳育児でも虫歯になるの?」という疑問を抱く親は少なくありません。母乳は赤ちゃんにとって栄養が豊富で、免疫力を高める素晴らしい食事ですが、母乳育児でも虫歯になる可能性はあります。では、どのようにして母乳が虫歯に関わるのか、虫歯予防にはどうすればよいのかについて、詳しく解説します。
1. 母乳と虫歯の関係
母乳育児が虫歯を引き起こすかどうかは、単純に「母乳が悪い」とは言い切れません。母乳そのものには虫歯を引き起こす成分は含まれていないと考えられています。むしろ、母乳には免疫成分が含まれており、赤ちゃんの健康に非常に良い影響を与えます。しかし、虫歯が発生するのは、口の中の細菌と食べ物が関係しているからです。
虫歯は、口の中に存在する細菌(特にミュータンス菌)が食べ物の糖分を分解して酸を生成し、その酸が歯を溶かしてしまうことで発生します。母乳には自然な糖分(ラクトース)が含まれていますが、この糖分が口の中に長時間残ることで、虫歯を引き起こすリスクが高まる可能性があります。
2. 母乳育児中の虫歯リスクとは?
母乳育児が虫歯のリスクを高めることがあるのは、次のような場合です。
夜間授乳
赤ちゃんが寝ている間に授乳をすることが多い場合、母乳が口の中に長時間残ることになります。寝ている赤ちゃんは飲んだ後に口をきれいにすることができませんので、母乳に含まれる糖分が歯に長く残り、虫歯の原因となる細菌が活動しやすくなります。特に、生後数ヶ月の赤ちゃんはまだ歯が生えていないことが多いですが、乳歯が生え始める時期には、歯に与える影響が大きくなることがあります。
授乳後に口腔ケアをしない
授乳後に赤ちゃんの口腔ケアを行わない場合、母乳が歯に残ったままになり、虫歯が進行するリスクがあります。大人の場合、食後に歯磨きをすることで口の中を清潔に保つことができますが、赤ちゃんにはまだ歯磨きができません。そのため、授乳後に少しでも口腔ケアを行うことが大切です。
3. 母乳育児中の虫歯予防方法
母乳育児中でも、虫歯を予防するためにはいくつかの工夫があります。赤ちゃんの歯が生える前から始められる予防方法もあるので、早い段階で取り入れると効果的です。
授乳後の口腔ケア
赤ちゃんが乳歯を生える前から、授乳後に軽くガーゼで口の中を拭いてあげると、残った母乳や汚れを取り除くことができます。生後6ヶ月を過ぎて歯が生えてきたら、赤ちゃん用の歯ブラシを使って軽く歯を磨いてあげることが望ましいです。赤ちゃん用の歯磨き粉はフッ素入りのものを使うことが推奨されますが、量を少なくして使用することが大切です。
夜間授乳の注意
夜間授乳は赤ちゃんにとって重要な栄養補給ですが、寝ている間に母乳が口に残らないように注意が必要です。夜間授乳後に赤ちゃんを起こして、軽く口を拭いてあげると、虫歯予防になります。また、赤ちゃんが寝る前に少しでも口腔ケアをしておくことも大切です。
食事やおやつの工夫
母乳以外の食べ物や飲み物についても、虫歯予防には注意が必要です。甘い飲み物や食べ物を与えすぎないようにし、食事の時間を決めて、間食を控えめにすると良いでしょう。特に甘いジュースやお菓子は、虫歯の原因となる糖分が多いため、できるだけ控えめにすることをおすすめします。
定期的な歯科受診
赤ちゃんが生後6ヶ月を過ぎたら、歯科医院に定期的に通うことも虫歯予防に繋がります。歯科医師によるチェックを受けることで、歯や歯茎の健康を守り、虫歯の早期発見が可能になります。虫歯のリスクが高い場合は、フッ素塗布などの予防処置も検討することができます。
4. 母乳育児と虫歯の誤解
母乳育児が虫歯を引き起こすと誤解されがちですが、実際には授乳そのものが原因で虫歯になることはほとんどありません。重要なのは、授乳後のケアや、口腔内に残った母乳を長時間放置しないことです。母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養源であり、免疫をサポートするため、虫歯予防に必要なケアを行いながら、授乳を続けることができます。
5. まとめ
母乳育児は赤ちゃんにとって非常に大切な栄養源であり、虫歯の原因となるものではありません。しかし、母乳の糖分が口に残ることが虫歯を引き起こす原因になる可能性があるため、授乳後の口腔ケアが重要です。また、夜間授乳の際には口腔内に母乳が残らないように工夫し、食事のバランスや定期的な歯科受診を行うことが虫歯予防に繋がります。母乳育児を続けながら、赤ちゃんの歯の健康を守るために、日々のケアをしっかりと行いましょう。
このページは院長が監修しています

- 監修 院長 田中 貞明
- 2021年4月 にしおわり中央歯科おやこ歯科 開業
- 学校保健県立学校部学校歯科医理事