金属の入れ歯とレジンの入れ歯の特徴と違い
今回説明しますのは、金属の入れ歯とレジンの入れ歯です。基本的に金属の入れ歯は自由診療になる為、保険治療ではみることがありません。どちらがいいのか?それぞれの特徴を知って将来または今の口腔環境について考えていただければと思います。
まずは、保険診療で使用されるレジンの入れ歯について説明していきましょう。
そもそもレジンとはどういったものか、俗にいうプラスチックで入れ歯に使われるものはアクリル樹脂が使用されます。身近なものだとアクリルキーホルダー、水族館の大型水槽展示窓、意外なものだと昔は戦闘機のキャノピーにも使われていたそうです。
軽くて丈夫なことから入れ歯にも使用され始めたのです。レジンの構造として、割れてもまたくっつくことができ修復しやすく歯科治療で重宝されました。ただやはり歯の代替品として完璧とはいかず、欠点もあります。
健康な人が噛む力はおおよそ自身の体重くらいといわれており、平均では男性70kg.女性50kgです。健康で特に噛む力の強い男性になると70kgを超えてきます。噛む力が強くてご自身の歯を欠けさせてしまう方となると、このレジンの入れ歯では力不足になり入れ歯も同じように割れてきてしまいます。
他にはレジンの入れ歯は熱を通し辛く、熱い物を飲んでも口の中ではそう感じず飲み込む時にやっと温度を感じて食事が美味しくないなど聞きます。修復はしやすいけれど過剰に力がかかると割れやすく、温度感覚を阻害してしまうものがレジンの入れ歯になります。
では、金属の入れ歯はどうでしょうか、土台となる所が金属で作られます。使用される素材はコバルトクロム、チタンなどがあげられます。どちらも生体親和性が高く、チタンはインプラントでも使用される材料でありアレルギーの心配がほぼありません。また金属なので噛む力で割れる事はまず無く、レジンのように撓むこともありません。金属はレジンに比べて熱伝導がよく熱い飲み物、スープ等しっかり温度を感じます。ここまで聞くと、レジンより金属の入れ歯が優れており何故レジンの入れ歯がまだ在るのか不思議に思われると思います。前述したとおり保険治療になるとレジンの入れ歯しか許されていないからです。
実際金属の入れ歯は後々に形を変えるのは難しく、しっかりとした治療計画が必要になります。また型取りも正確に行われる必要があり高い技術も求められ、金属の値段も安くはありません。その為、保険治療でレジンの入れ歯が残っているようにも考えられます。
緊急時にはレジンの入れ歯は大活躍します。震災等の災害時には入れ歯を紛失されて食事ができない方が沢山でました。その時に型取りして短時間かつ特別な機械もなく作れるのがレジンの入れ歯でした。
基本的には金属の入れ歯が優れているのは変わりませんが生活様式、その時の口の状態で何が最適な入れ歯かは違いがあると思います。皆様に何が合っているのか必要なのか判断して、最適な入れ歯を使い美味しく食事がとれるようになることを願っています。